春の不調は自律神経と関係ある?
暦の上では春!
まだまだ寒い日が続いてはいますが,花のつぼみも少しずつ膨らんで…花粉も飛んで(嗚呼),着実に季節は変わっています。
喜びもありますが,季節の変わり目は不調の季節。この原因は自律神経の乱れ。なんとなく息苦しかったり,眠りが浅くなったり,病院へ行くほどでもないけど…というプチ不調,自律神経が関係しています。
自律神経は,例えば心臓の動きや呼吸,睡眠や摂食,排泄,体温調節やホルモンの分泌,免疫機能など,自分で制御できない身体の現象を制御する働きを担っている末梢神経の総称です。これらの自律神経のはたらきによって身体内部の環境が一定に保たれ,生命が守られています。
しかし外界の環境が短期間に大きく変わりやすい季節の変わり目には,内部環境を一定にするための負担が大きくなってしまうのです。
スヴァーハ・ヨガのある東京では,このところ毎日のように最低気温・最高気温が5度以上,時には10度近くも変化しています。それでも体温はいつも36度前後に保たれています。それは自律神経がせっせと働いてくれているからこそ。そりゃ大変だわ〜
なんとなく春先の不調と自律神経の関係がご理解いただけたかな。この記事では,もう少し自律神経についておさらいしてから,自律神経のバランスを整えるためのアサナのお話に入ります。
【目次】 バランスこそが大切〜交感神経と副交感神経
バランスこそが大切〜交感神経と副交感神経
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類が存在し,シーソーのようにいずれかが働きます。緊張状態では交感神経,リラックスは副交感神経がはたらいているという知識をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
しかし,それだけではなく時間帯によっても交感神経が働くべきか副交感神経が働くべきかが変化します。朝目覚めて光を浴びると体内時計が朝が来たことに気づいて,まったりモードから活動モードに切り替えてくれます。また,日が落ちたあとは副交感神経にスイッチされ,少しずつ休息モードになっていきます。これが24時間のサイクルにふさわしい自律神経の働きです。
つまり,交感神経と副交感神経が適切に切り替えられない状態が,いわゆる「自律神経が乱れた」状態と言えます。夜になっても交感神経がギンギンだったり,朝に交感神経へと切り替えられずぐったりしてしまうのは自律神経のバランスが乱れているから。
一時的には誰にでも起きることですが,長期に渡って自律神経のバランスが崩れたままだと,疲れやすくなるほか,目眩やうつ,場合によっては心疾患などのリスクにもなり得るなど,心身の悪影響へとつながることが知られています。
自律神経は交感神経・副交感神経のいずれかが大切ということではなくて,状況に合わせてうまく切り替えることが重要なのですね。
ヨガで自律神経整えちゃう?
ヨガのプラクティスは呼吸を非常に重視します。最初に述べたように呼吸は本来は自律神経制御の身体の現象ですが自分でコントロールすることも可能なのはご存知の通り。呼吸を意識することで自律神経にはたらきかけることができます。
ハタヨガのアサナではゆったりとした呼吸をすることもあれば力強い呼吸を求められることも。またクラスの最後にはみんな大好きな(?)仰向け姿勢で休息をとるシャバーサナで呼吸への意識を手放します。
立位のアサナで交感神経を優位にさせて,クールダウン,シャバーサナで副交感神経に切り替える。これはプラクティスの中で切り替えの練習をしていると言えます。
それを考えると「このポーズをしたら自律神経が整います」という特定のポーズがあるわけではないととわかりますが,吸ってストレッチして吐いてリラックスすることを何度か繰り返すだけでも自律神経にはたらきかけることができます。
それに,今はフルでレッスンを定期的に受けるのは忙しすぎる…ということもありますよね。そんなときは自分がどんな状態なのかを確かめて,それぞれに応じた対策を行いましょう。1ポーズで全てが解決するわけではないけれど,自分をケアしてあげれば,気分も少しUPします!
では状況別のおすすめのアサナを見ていきましょう。どれも初心者さんにも無理なくできるベーシックなポーズです。
①イライラする・焦ってしまうとき
交感神経が優位で副交感神経が極端に低い状態かもしれません。ストレスが多い現代人には珍しくないですが,長期間続いてしまうのは問題です。こんなときはリラックス効果が高い前屈や仰向け姿勢のポーズがおすすめです。
子どものポーズ(ヴァラーサナ; varasana)
クラスの中ではチャイルドポーズと呼ばれることが多い休息のアサナです。とはいえ,簡単そうに見えて腕を伸ばせなかったり,お尻が浮いてしまったり,フルポーズに入るのは意外と難しいこのポーズ。
額を床に下ろすのが難しければ,拳を重ねて額の下に置いても構いません。その日の調子に合わせて無理せず,快適さを感じられるポジションを探しましょう。身体を軽く揺らすと体側~腰、お尻まわりに軽いストレッチが入り,リラックス効果もアップします。
無理のない姿勢を見つけたら、まぶたを閉じて身体を軽く揺らしながら深い呼吸をします。起き上がる時もゆっくりと動きましょう。
How to practice: child pose ①正座の状態から上半身を腿に預けるように前に倒します
②腕を頭の先にバンザイの状態に伸ばします。
*肩の柔軟性が乏しいと②が難しいため,腕を肩幅の1.5倍程度まで開き肘を緩めるとやりやすい
物足りないと感じたら下向きの犬のポーズや立位の前屈でも似た効果を感じられます。いずれのアサナでも自分の呼吸音を聞きながら、呼吸のリズムが落ち着く様子を観察してください。
②体がだるい・常に眠気が取れない
副交感神経が優位で、交感神経が極端に低いと考えられます。身体がだるいだけではなく気分もすぐれず、うつっぽい感じがする人や、アレルギーが発症することも。立位のポーズ、特に胸を開き活動的な気分になれるポーズがおすすめです
勇者のポーズ1(ヴィラバドラーサナ1; virabhadrasana1)
ウォーリア1とも。足を大きく開くポーズは骨盤が後ろ足側に流れしまいがちです。前脚側に体を捻るようなつもりで骨盤を正面に向けるようにしましょう。腰を守り,骨盤周辺の調整になります。
慣れていない方は、前後の足の距離を開きすぎないようにすると同時に、左右を少し広くするとやりやすくなります。また、かかとを上げて行っても。腰だけが反りやすいので腹筋の意識も忘れずに。
How to practice: Warrior I
①足を前後に開き、後ろ足のつま先を45度程度外側に開く。胴体、腰は正面に向けておく
②吐きながら前の膝がかかとの上に来るところまで曲げる。吸う息で両腕を空に向かってあげ、視線は親指に。膝がつま先より前に行かないように注意 ③挙げた手を合掌の状態にし押し合う。重心を身体の中心軸に集め、呼吸に集中する
④数呼吸ポーズを保持する
⑤反対側も同じように行う
③自分がどちらかわからない
気持ちは焦るけどからだはだるい…など、両方に当てはまってしまうときもありますよね。そんなときにはツイストのポーズやがおすすめです。ツイストポーズには気分を切り替えるなどリフレッシュ効果があると言われています。
半分の魚の王のポーズ(アルダ・マッチェンドラーサナ)
How to practice: Half Load of the Fish Pose ①両足を伸ばして座り右足の膝を立て,左足の膝の外側へ置く。余裕があれば下の膝も曲げる
②左右の坐骨を均等に置き直し,両膝を中央に軽く寄せる
③息を吸いながら両手の指で床を押しながら背骨を伸ばす
④息を吐きながら背骨の下の方からひとつづつ右に向かって捻る
⑤数呼吸その場所で保持する。吸いながら背骨を伸ばし直し,余裕があれば吐く息でさらに捻る。捻りすぎて息ができないと感じたら吐く息で少し戻す
⑥吸いながら元の位置に戻す
⑦反対側も同じように行う
座位で行うツイストは捻ることに夢中になってしまい,背骨が丸くなりやすい傾向があります。背中を丸くするストレッチも有効ですが,ヨガ的には背骨をまっすぐに伸ばしたまま行うことが推奨されています。
背中を丸めて体を捻ると呼吸しにくいことも一つの理由です。また背骨のアラインメントを意識することによって「心のクセ」にアプローチすることはさらに重要かも。アサナの達成に夢中になり過ぎない静かな心を育みます。
最後に〜自分らしいプラクティスのスタイルは宝もの
少しだけ時間に余裕がある場合は,上記の3つを全て行うか,太陽礼拝のシークエンスを行ってみても良いでしょう。
慣れれば5分あれば全部のポーズを行えます。最後に1分ほど目を閉じて仰向けになる時間が取れればさらにベター!
短い時間で行う練習で大切なことは,まずは呼吸をいつものレッスンよりももっと大切に行うこと。それには注意力と集中力が求められますが,だからこそ効果に繋がるはず。アラインメントの意識も同様に大切ですが,特に季節の変わり目の不調への対策として行う練習の場合は呼吸への意識を重視することをおすすめします。
練習はたくさんやれば良いというものではありません。もちろん量もある程度は大切なのですが,みんながみんなアーサナマスターになる必要はないわけ。それよりも心とからだが健やかであるための上手なプラクティスを見つけて欲しいというのがわたし達の願い。この記事を参考に忙しい時にはそれはそれでライフスタイルにフィットする,持続可能なプラクティスを見つけてください。
時間がある時には心ゆくまでプラクティスをすれば良いもんね!
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